HOME > エネルギー管理研修修了試験 > 平成19年 電気機器 問8(1)
電気機器設備において省エネルギーを図るためには、機器自体が発生する損失を低減するとともに、 負荷の大きさ及び[1]に適合した機器の容量、台数及び運転方式の選定など、個別機器及び設備総合での 最適化を図ることが肝要である。電気機器の損失は無負荷損と負荷損に大別される。 無負荷損は負荷の[2]に関係なく一定であり、負荷損は負荷電流の[3]に比例して増減する。
配電用変圧器の負荷は1日を通して一定ではなく、日中と真夜中では数倍異なることがある。 変圧器の利用のされ方を表すのに[4]効率ηdが使われ、この値は次式によって算出される。
\[η_d=\frac{W_t}{W_t+24P_i+W_c}×100[%]\]ここで、Wt[Wh]は1日の[5]の積算値、Pi[W]は無負荷損、Wc[Wh]は1日の負荷損の積算値である。
また、変圧器自体の損失低減を目指して規定されたJIS C 4304:2005「配電用油入変圧器」では、 次式で計算される[6]効率Pm[W]が基準値として規定されている。
\[P_m=P_i+(\frac{m}{100})^2×P_{R75}\]
ここで、Pi[W]は無負荷損、P_R75[W]は基準[7]温度に補正した定格容量に対する負荷損である。 また、m[%]は基準負荷率で、変圧器の定格容量が500kVA以下の場合は40%、500kVA超過の場合は 50%である。
三相誘導電動機は、通常、定格負荷の近傍で最大効率が得られるように設計される。 誘導電動機を極端な部分負荷で使用すると、無負荷損及び励磁電流は負荷の大きさにかかわらず 不変であるので、効率及び[8]が低下する。
三相かご形誘導電動機は、一般に定速度形として使用されることが多いが、低速運転が 必要な場合、インバータを用いて低速時に見合った[9]及び周波数を供給すれば、 高速運転時に近い効率で運転することができる。インバータの損失を考慮に入れても、 巻線形誘導電動機の[10]による方法に比べて省エネルギー効果は大きく、 始動時の系統に与える影響も軽減でき、また、保守も容易である。
高効率三相誘導電動機では、鉄損を低減するために、低損失鉄心材料の使用や[11]の低減などの 対策が行われ、また、銅損を低減するために、導体断面積の増加やコイル端の長さの短縮などの対策が行われる。 さらに、固定子枠をアルミニウム製として[12]効果を向上させ、寸法及び質量の増大を抑制している。 高効率三相誘導電動機は電力の節約が図れるのみならず、 低損失のための電動機の温度上昇が小さく、巻線絶縁の長寿命化による信頼性の向上も期待される。
【解答】
[1]…特性
[2]…大きさ
[3]…2乗
[4]…全日効率ηd
[5]…出力
[6]…エネルギー消費効率Pm
[7]…巻線温度
[8]…力率
[9]…(一次)電圧
[10]…二次抵抗制御
[11]…(最大)磁束密度
[12]…冷却