24.5.24

変圧器の2台並行運転による効率改善 - エネルギー管理士試験 2006年(平成18年) 電気機器 問9(2)

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エネルギー管理士試験

定格容量300kVAの三相変圧器があり、無負荷損が920W、定格負荷時の負荷損が4890Wである。 この変圧器に300kVA、力率0.9の三相平衝負荷を掛ける場合、変圧器の全損失が5.81kWであり、 効率は97.89%となる。 次に、同一仕様の変圧器を1台増設することを考える。2台の変圧器を並列に接続し、この負荷を 均等に分担させて使用するときは、変圧器2台の全損失の合計が[A a.bc][kW]であり、 効率は[B ab.cd][%]となる。

前記の負荷を掛けて1年に365日運転する場合、年間の損失電力量は、1台の変圧器を運転するときは[C ab.c][MWh]であり、 2台の変圧器を並行運転するときは[D ab.c]MWhとなる。いま、1MWh当たりの電気料金を増設する300kVA変圧器1台の市場価格の2.1%と仮定すれば、 増設変圧器1台の価格を電気料金の年間節約額で除した単純投資回収期間は[E a.b]年となる。

【解答と解説】

A,B

変圧器1台において、効率は、

\[変圧器の効率η =\frac{出力}{出力+鉄損+銅損} =\frac{α3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ}{α3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ+P_i+α^2P_c} =\frac{3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ}{3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ+\frac{P_i}{α}+αP_c}\] \[0.9789=\frac{1・300・0.9}{1・300・0.9+0.920+1^2・4.890}\]

変圧器2台において

全損失の合計は、

\[鉄損1+銅損1+鉄損2+銅損2=0.920+0.920+(\frac{1}{2})^2・4.890+(\frac{1}{2})^2・4.890=4285…4.29kW…A\]

効率は、

\[変圧器の効率η'=\frac{出力1+出力2}{出力1+出力2+鉄損1+銅損1+鉄損2+銅損2}\] \[=\frac{\frac{α}{2}3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ+\frac{α}{2}3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ} {\frac{α}{2}3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ+\frac{α}{2}3\frac{V}{\sqrt{3}}Icosθ+P_i+P_i+(\frac{α}{2})^2P_c+(\frac{α}{2})^2P_c}\] \[=\frac{\frac{1}{2}300・0.9+\frac{1}{2}300・0.9} {\frac{1}{2}300・0.9+\frac{1}{2}300・0.9+0.920+0.920+(\frac{1}{2})^2・4.890+(\frac{1}{2})^2・4.890}=0.98437…B\]

C

1台の変圧器を運転するときの損失電力、年間の損失電力量は、

\[損失=鉄損+銅損=0.920+1^2・4.890=5.81kW\]

\[年間の損失電力量=5.81kW・365・24=50.89MWh…C\]

D

2台の変圧器を並行運転するときの損失電力4.285kWであるので、年間の損失電力量は、

\[年間の損失電力量=4.285kW・365・24=37.53MWh…D\]

E

\[単純投資回収期間=\frac{増設変圧器1台の価格}{電気料金の年間節約額}=\frac{\frac{1MWh当たりの電気料金}{0.021}}{1MWh当たりの電気料金・(50.89-37.53)MWh/年}\]

\[=3.55年…E\]