HOME > エネルギー管理士試験 > 令和5年 電気機器 問9(4)
三相変圧器で,一次電圧 6 600 V,二次電圧 210 V,定格容量 1 000 kV·A の変圧器があり, 負荷の定格容量の 50 % の大きさで力率が 100 % のとき,最大効率 99.4 % が得られた。なお,短絡インピーダンスの抵抗 とリアクタンスの比は 7.05 とする。
1) この変圧器の無負荷損は A [W] であり,定格容量時の負荷損は B [W] となる。
2) この変圧器に定格容量で力率が 80 %(遅れ)の負荷を接続たときの効率は C [%] となる。
3) この変圧器の短絡インピーダンスは D [%] となるので, 高圧側を定格電圧値に維持して低圧側を短絡した場合,二次側の短絡電流は定格電流の E 倍 となる。
【解答と解説】
1)
A,B
変圧器の効率は、
\[変圧器の効率η=\frac{α3VIcosθ}{α3VIcosθ+P_i+α^2P_c}=\frac{3VIcosθ}{3VIcosθ+\frac{P_i}{α}+αP_c}\]最大効率のとき、
\[\frac{P_i}{α}=αP_c\] \[変圧器の効率η_{max}=\frac{3VIcosθ}{3VIcosθ+2\frac{P_i}{α}}\] \[0.994=\frac{1000kVA・100%}{1000kVA・100%+2\frac{P_i}{0.5}}\] \[0.994・(1000kVA・100%+2\frac{P_i}{0.5})=1000kVA・100%\] \[0.994・2\frac{P_i}{0.5}=(1-0.994)・1000kVA・100%\] \[無負荷損P_i=1509.05W…A\] \[負荷損P_c=\frac{P_i}{α^2}=\frac{1509.05}{0.5^2}=6036.2W…B\]2)
C
変圧器の効率は、定格容量でα=1、3VI=1000kVA、力率cosθ=0.8より、
\[変圧器の効率η=\frac{α3VIcosθ}{α3VIcosθ+P_i+α^2P_c}=\frac{3VIcosθ}{3VIcosθ+\frac{P_i}{α}+αP_c}\] \[=\frac{1・1000・0.8}{1・1000・0.8+1.50905+1^2・6.0362}=0.9906…C 99.1%\]3)
D
変圧器の電圧降下、電圧変動率は、
\[電圧降下≒定格電流×(変圧器の抵抗r・cosθ+変圧器のリアクタンスx・sinθ)\] \[電圧変動率ε≒\frac{定格電流×変圧器の抵抗r}{定格電圧}cosθ+\frac{定格電流×変圧器のリアクタンスx}{定格電圧}sinθ\] \[=%pcosθ+%qsinθ\]変圧器の抵抗降下pは、
\[%抵抗降下p=\frac{定格電流×変圧器の抵抗r}{定格電圧}\] \[%抵抗降下p=\frac{定格電流^2×変圧器の抵抗r}{定格電圧×定格電流}\] \[%抵抗降下p=\frac{負荷損(銅損)}{定格容量}\] \[%抵抗降下p=\frac{6.0362kW}{1000kVA}\]変圧器のリアクタンス降下qは、
\[%リアクタンス降下q=\frac{定格電流×変圧器のリアクタンスx}{定格電圧}\] \[\frac{%q}{%p}=\frac{x}{r}=7.05\] \[%リアクタンス降下q=\frac{6.0362kW}{1000kVA}・7.05\]変圧器のインピーダンス降下すなわち短絡インピーダンスは、
\[%Z=\sqrt{%p^2+%q^2}=\sqrt{%p^2+(7.05・%p)^2}=%p・\sqrt{1^2+7.05^2}=%p・7.12=\frac{6.0362}{1000}・7.12=4.298%…D\]E
\[%Z=\frac{定格電流×\sqrt{変圧器の抵抗r^2+変圧器リアクタンスx^2}}{定格電圧}=\frac{定格電流×|変圧器のインピーダンス|}{定格電圧} \]短絡電流は、
\[短絡電流=\frac{定格電圧}{|変圧器のインピーダンス|}=\frac{定格電流}{%Z}\] \[\frac{短絡電流}{定格電流}=\frac{1}{%Z}=\frac{1}{4.298%}=23.266 …E\]