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進相コンデンサによる力率改善、電力損失の改善 - エネルギー管理士試験 2023年(令和5年) 工場配電 問7(5)

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エネルギー管理士試験

図 1 に示すように,三相 3 線式の高圧配電線路の負荷端に, 常時の電力が 800 kW で最大電力が 1300 kW となる平衡三相負荷が接続されており, 負荷の力率は 80 %(遅れ)一定である。 ここで,この負荷と並列に進相コンデンサを接続して力率改善を行うことにした。 力率改善のために接続した進相コンデンサは,負荷が 800 kW のときに 負荷端における力率を 95 %(遅れ)とするために必要な容量とした。 ただし,負荷端電圧及び負荷力率は,負荷の大きさにかかわらず,力率の改善前後において一定とする。

2023年(令和5年) 工場配電 問7(5)

1) 負荷が 800 kW のときの高圧配電線路の電力損失は, 進相コンデンサを接続して 95 %(遅れ)に力率改善することによって,力率改善前に対して [A ab.c] [%] 低減する。

2) 力率改善後,負荷力率が一定のまま負荷が 800 kW から最大の 1300 kW まで増加したとき, 負荷端の力率は 95 %(遅れ)から [B ab.c][%](遅れ)に低下する。

【解答と解説】

1)

A

力率改善前に対する力率改善後の電力損失の比を求める。

力率改善前の3VI、電力損失3rI^2

\[3VI=800kW- i\frac{800}{0.80} \sqrt{1-0.80^2}=800kW-600kvar\] \[|3VI|=800/0.8 kVA\] \[|I|=(800/0.8)/(3V) \] \[電力損失=3rI^2=3r((800/0.8)/(3V))^2\]

力率改善後の3VI'、電力損失3rI'^2

\[3VI'=800kW- i\frac{800}{0.95} \sqrt{1-0.95^2}=800kW-262.947kvar\] \[|3VI'|=800/0.95 kVA\] \[|I'|=(800/0.95)/(3V) \] \[電力損失=3rI'^2=3r((800/0.95)/(3V))^2\]

力率改善前に対する力率改善後の電力損失の比は、

\[\frac{3rI'^2}{3rI^2}=\frac{3r((800/0.95)/(3V))^2}{3r((800/0.8)/(3V))^2}=\frac{0.8^2}{0.95^2}=0.7092\] \[1-0.7092=29.08 % …A[29.1%]\]

力率改善前に対して力率改善後の電力損失は29.1%低減する。

2)

B

力率改善前

\[3VI=800kW- i\frac{800}{0.80} \sqrt{1-0.80^2}=800kW-600kvar\]

力率改善後

\[3VI'=800kW- i\frac{800}{0.95} \sqrt{1-0.95^2}=800kW-262.947kvar\]

進相コンデンサの容量は、

\[進相コンデンサ容量=600kvar-262.947kvar=337.053kvar\]

負荷力率80%一定で、負荷が1300kWに増加したとき、

\[|3VI''|=1300/0.80 kVA\] \[3VI''=1300kW- i\frac{1300}{0.80} \sqrt{1-0.80^2}=1300kW-975kvar\]

負荷力率80%一定で、負荷が1300kWにおいて、進相コンデンサを接続したとき、

\[3VI'''=3VI''+337.053kvar=1300kW-975kvar+337.053kvar=1300kW-637.947kvar\]

このとき力率は、

\[力率=1300/\sqrt{1300^2+637.947^2}=1300/1448.094=89.773% … B\]