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進相コンデンサによる力率改善 - エネルギー管理研修修了試験 平成19年(2007年) 工場配電

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図のように、三相3線式高圧配電線路の受電端に最大電力が1200kW、遅れ力率が0.8(負荷の大きさによらず一定とする)の変動負荷が接続されている。 力率改善のため、負荷が720kWのときに受電端力率が1になるよう並列コンデンサを設置した。 ただし、高圧線路の1条当たりの抵抗を0.7Ωとし、受電端電圧は負荷に関係なく6600V一定とする。 また、これ以外の線路のインピーダンスは無視できるものとする。

1)設置した並列コンデンサの容量は[A]kvarである。

2)コンデンサ設置後の、最大負荷時の受電端力率は[B]となる。

3)最大負荷時、コンデンサを設置したことにより低減される高圧配電線路の電力損失は[C]kWとなる。

【解答と解説】

1)

A

受電端において、負荷720kW、力率0.8(遅れ)

\[3VI_{720}=720kW-i\frac{720}{0.8}\sqrt{1-0.8^2}kvar=720kW-i540kvar\] \[Q_c=540kvar…A\]

2)

B

受電端において、負荷1200kW(最大負荷時)、力率0.8(遅れ)

\[3VI_{1200}=1200kW-i\frac{1200}{0.8}\sqrt{1-0.8^2}kvar=1200kW-i900kvar\]

コンデンサ設置後は、

\[3VI'_{1200}=1200kW-i900kvar+Q_c=1200kW-i900kvar+i540kvar=1200kW-i360kvar\]

受電端力率は、

\[cosθ=\frac{1200}{\sqrt{1200^2+360^2}}=0.9578…B\]

3)

C

コンデンサ設置前と後の線路の電力損失は、

\[3VI_{1200}=1200kW-i900kvar\] \[P_{1200}=3rI^2=3・0.7・(\frac{\sqrt{1200^2+900^2}}{3・6600/\sqrt{3}})^2kW\] \[3VI'_{1200}=1200kW-i360kvar\] \[P'_{1200}=3rI'^2=3・0.7・(\frac{\sqrt{1200^2+360^2}}{3・6600/\sqrt{3}})^2kW\]

低減される線路の電力損失は、

\[P_{1200}-P'_{1200}=3・0.7・\frac{(1200^2+900^2)-(1200^2+360^2)}{(3・6600/\sqrt{3})^2}kW=0.01093kW=10.93kW…C\]