7.5.22

変圧器の並行運転 電験2種 電力・管理 2010年(平成22年)

maxima

【変圧器の並行運転】

表1に示す定格を持つ2台の変圧器を有する変電所がある。 この変電所の全負荷P[MW]が表2に示すとおり変化するとき、 次の問に答えよ。 なお、負荷の力率は0.8で一定とする。

\[ \begin{array}{|c|c|c|c|c|c|} \hline 項目 & 容量 & 電圧 & 短絡インピーダンス & 無負荷損 & 定格負荷時の \\ & \mathrm {[MV\cdot A]} & \mathrm {[kV]} & \mathrm {[%]} & \mathrm {[kW]} & 負荷損 \ \mathrm {[kW]} \\ \hline 変圧器 \ \mathrm {A} & 45 & 77 / 22 & 10 \left( 定格容量ベース \right)     & 40 & 216 \\ \hline 変圧器 \ \mathrm {B} & 30 & 77 / 22 & 10 \left( 定格容量ベース \right)     & 30 & 144 \\ \hline \end{array} \]

\[表1\]

\[ \begin{array}{|c|c|c|} \hline \mathrm {No.} & 時間帯 & 全負荷 \ P \ \mathrm {[MW]} \\ \hline ① & \ 0 \ 時から \ 8 \ 時    & 12 \\ \hline ② & \ 8 \ 時から \ 12 \ 時    & 18 \\ \hline ③ & \ 12 \ 時から \ 20 \ 時    & 25 \\ \hline ④ & \ 20 \ 時から \ 24 \ 時    & 10 \\ \hline \end{array} \]

\[表2\]

(1)2台の変圧器を並行運転した場合に、変圧器Aおよび変圧器Bがそれぞれ分担する負荷を PA[MW]、PB[MW]とする。PA、PBをそれぞれ変電所の全負荷Pを用いて表す。

(2)変圧器 A を 1 台運転したときの全損失を PLA [kW] , 変圧器 B を 1 台運転したときの全損失を PLB [kW] , 2 台の変圧器を並行運転したときの全損失を PLAB [kW] とする。 PLA , PLB , PLAB をそれぞれ変電所の全負荷 P を用いて表せ。

(3)表2の ① から ④ の各時間帯において,変電所の効率が最大となる変圧器の運転台数を求めよ。 なお, 1 台運転となる場合は,運転対象の変圧器( A 又は B )を示すこと。

(4)上記(3)で求めた方法で運転した場合について,変電所の全日効率 ηd [%] を求めよ。

【解答と解説】

(1)

\[%Z_A=Z_A \frac{P_A}{V^2}=Z_A \frac{45MVA}{V^2}=10%\] \[%Z_B=Z_B \frac{P_B}{V^2}=Z_B \frac{30MVA}{V^2}=10%\]

並行運転時、

\[%Z'_A=Z_A \frac{75MVA}{V^2}=\frac{5}{3}10%\] \[%Z'_B=Z_B \frac{75MVA}{V^2}=\frac{5}{2}10%\] \[Aが分担する負荷:\frac{1/Z'_A}{1/Z'_A+1/Z'_A}=\frac{3}{5}P\] \[Bが分担する負荷:\frac{1/Z'_B}{1/Z'_B+1/Z'_B}=\frac{2}{5}P\]

(2)

A:

\[W_c=rI^2=216kW(定格時)\]

負荷率α(=(P/0.8)/45MVA)において、

\[W_c=r(αI)^2=α^2rI^2=α^2W_c=(\frac{VI'}{VI})^2W_c=(\frac{P/0.8}{45})^2216kW\] \[W_i+W_c=40kW+(\frac{P/0.8}{45})^2 216kW\]

B:

\[W_i+W_c=30kW+(\frac{P/0.8}{30})^2 144kW\]

並行運転時において、

\[\frac{I_A}{I_A+I_B}=\frac{1/Z'_A}{1/Z'_A+1/Z'_A}=\frac{3}{5}P\] \[\frac{I_B}{I_A+I_B}=\frac{1/Z'_B}{1/Z'_B+1/Z'_B}=\frac{2}{5}P\] \[W_i+W_c=40kW+(\frac{\frac{3}{5}P/0.8}{45})^2 216kW+30kW+(\frac{\frac{2}{5}P/0.8}{30})^2 144kW\]