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三相3線式2回線配電線路 - エネルギー管理士試験 2023年(令和5年) 工場配電 問8(4)

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(4)ある工場では、図に示すように、三相3線式2回線の6600V高圧配電線路により、A棟とB棟に配電している。 負荷の大きさは、A棟が2000kVA(遅れ力率80%)、B棟が1200kW(遅れ力率95%)であり、いずれも平衡三相で定電力負荷である。

ここで、線路1及び線路2は線路インピーダンスが等しく、一相当たりの抵抗は0.4Ωで、 リアクタンス分や線路1及び線路2以外のインピーダンスは無視できるものとする。また、 開閉器Sが閉路のときの負荷接続点の電圧は6600Vで、常に一定に維持されているものとし、 負荷力率は力率改善前後で変わらないものとする。

2023年(令和5年) 工場配電 問8(4)

1) 開閉器Sが開路のとき、線路1及び線路2の合計の電力損失は、それぞれの線路の電流と抵抗から求めることができる。 線路1の負荷接続点の電圧が6600V一定に維持されるように送電することとし、その結果、線路2の電圧が6650V一定となった。 そのとき、両線路の合計の電力損失は[A ab.c]kWとなる。

2) 開閉器Sが閉路のとき、負荷接続点の電圧が6600V一定で、両線路の電流は均等となることから、 各線路の1相当たりの電流は[B abc]Aとなる。これにより、発生する線路の電力損失は両線路の合計で[C ab.c]kWとなり、 開閉器Sが開路のときより低減する。

3) 開閉器 S が閉路のとき,負荷接続点における A 棟と B 棟を合計した負荷の力率を 100 % に改善するため, 図の破線のように進相コンデンサを設置した。

ⅰ) 設置した進相コンデンサの必要容量は [D a.bc× 10^d][kvar] である。

ⅱ) 進相コンデンサの設置により力率が 100 % に改善されるため, 線路 1 と線路 2 で発生する電力損失は合計で [E ab.c] [kW] となり,損失量は低減する。

【解答と解説】

1)

A

\[|3V_1I_1|=3・\frac{6600V}{\sqrt{3}}・I_1=2000kW/0.8=2500kVA\] \[\sqrt{3}・6600V・I_1・0.8=2000kW \] \[ I_1 = \frac{2000kW}{\sqrt{3}・6600V・0.8} = 218.7A \] \[|3V_2I_2|=3・\frac{6500V}{\sqrt{3}}・I_2=1200kW/0.95=1263.15789kVA\] \[\sqrt{3}・6500V・I_2・0.95=1200kW \] \[ I_2 = \frac{1200kW}{\sqrt{3}・6500V・0.95} = 109.7A \]

電力損失は

\[3r_1I_1^2=3・0.4・218.7^2 W\] \[3r_2I_2^2=3・0.4・109.7^2 W\] \[電力損失=3r_1I_1^2+3r_2I_2^2=71.84kW … A [71.8kW] \]

2)

B

\[|3V_1I_1|=2000kW/0.8=2500kVA\] \[3V_1I_1=2000kW-i2500・0.6var=2000kW-i1500kvar\] \[|3V_2I_2|=1200kW/0.95=1263.15789kVA\] \[3V_2I_2=1200kW-i1263.15789・\sqrt{1-0.95^2}var=1200kW-i394.42kvar\]

2回線では等分され、

\[3V_1I_1+3V_2I_2=3VI+3VI=3200kW-i1894.4kvar\] \[3VI=1600kW-947.21kvar\]

1相あたり

\[VI=533.333kW-i315.7366kvar\] \[|VI|=619.785kVA\] \[1相あたりの電流I=\frac{619.785kVA}{6.6kV/\sqrt{3}}=162.6A … B [163A] \]

C

\[I=163A\] \[3r_1I=3・0.4・163^2 W\] \[3r_2I=3・0.4・163^2 W\] \[電力損失 =2・3・0.4・162.6^2 = 63.45kW … C [63.5kW] \]

3)

D

\[3VI+3VI=3200kW-i1894.4kvar\] \[Im(3VI+3VI)=-i1894.4kvar\] \[進相コンデンサの必要容量=1894.4kvar … D\]

E

進相コンデンサの設置後、

\[3VI'+3VI'=3200kW\] \[|3VI'+3VI'|=3200kVA\] \[|3VI'|=1600kVA\] \[|VI'|=1600/3kVA\] \[1相あたりの電流I=\frac{1600/3kVA}{6.6kV/\sqrt{3}}=139.96A \]

電力損失は、

\[3r_1I=3・0.4・139.96^2 W\] \[3r_2I=3・0.4・139.96^2 W\] \[電力損失 =2・3・0.4・139.96^2 = 47.04kW … E [47.0kW] \]

【参考:数式処理システムMAXIMAによる三相皮相電力3VIをプロットした結果】

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